研究概要 |
糸魚川-静岡構造線活断層帯を対象として,地震の規模予測手法とアスペリティの設定が異なるt-L modelとs-L modelの2っのモデルと,活断層の形状より推定した3つの破壊開始点とを組み合わせた6つのモデルケースについて地震動の計算を行い,予測結果を距離減衰式との比較から検証した,予測結果を距離減衰式(司・翠川,1999)と比較した結果,t-L model,s-L modelを仮定した両方の場合で,最大水平速度値は概ね距離減衰式のばらつき±1σの範囲内に収まり,予測結果は妥当なものであった.次に,地震の規模予測手法とアスペリティの設定の異なる2つのモデル間の比較のために,合成波形の最大水平速度値について比較を行った.11観測点,3つの破壊開始シナリオについてモデルケース比を求めた場合,その平均はすべての破壊開始シナリオで同じ1.2であった.t-L mode1とs-L modelの地震規模の違いのみを考慮するために,2つのモデルを仮定した場合に設定されるMwから距離減衰式を用いて各観測点でのモデルケース比を求めた場合には,平均1.4(標準偏差:0.12)のモデルケース比が得られた,最後に,破壊開始点の位置の最大水平速度値に対する影響について考察するために,各観測点について,同じモデルで破壊開始点が異なる3つのケースの合成波形の最大水平速度値を求め,それらの最大と最小の比(ケース比)を算出した.その結果,ケース比の平均値は,t-L model,s-L modelを仮定した場合でともに1.4(標準偏差0.1)となった以上のことから,本検討においては地震の規模予測手法とアスペリティの設定が異なるモデルの違いの影響が,破壊開始点の違いによる影響ほどには大きくないと結論付けられる.
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