研究課題/領域番号 |
18540425
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
松本 剛 琉球大学, 理学部, 教授 (30344287)
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研究分担者 |
中村 衛 琉球大学, 理学部, 助手 (60295293)
新城 竜一 琉球大学, 理学部, 教授 (30244289)
木村 政昭 琉球大学, 名誉教授 (20112443)
小野 朋典 琉球大学, 理学部, 教務職員 (70233583)
久保 篤規 高知大学, 理学部, 助教授 (60403870)
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キーワード | 海洋科学 / 海洋探査 / 自然災害 / 地震 / 津波 |
研究概要 |
南西諸島では畠弧を横切る断層が発達している。これらは海底に分布しているため、断層の活動を明確にするには、過去の津波遡上高を用いて、それぞれの断層の活動度を調べるのが最も有効である。ここでは、1771年八重山地霞津波よりも前に南西諸岳で発生した巨大津波の波源域の推定を試みた。宮古諸島には、標高10m〜20mの地点に津波堆積物(津波石)が分布している。津波石が陸上に打ち上げられた年代から、津波は500年以上前に発生したとみられる。そこで断層モデルによる津波の数値シミュレーションをおこない、宮古諸島に点在する津波石を打ち上げた巨大津波の波源域となりうる断層を推定した。 断層モデルとしては、石垣島から宮古島東方沖に分布する島弧を横切る正断層6本、宮古岳南方沖に逆断層2本、沖縄トラフ側に正断層2本の合計10本を想定した。シミュレーションの結果、宮古島東方沖でM7.5の正断層型地震が発生した場合、宮古島南東部に最大波高15mが押し寄せることが明らかになった。また、下地島と多良間島の間にある断層でM7.5の正断層型地震が発生した場合、下地島に最大波高9mの津波が押し寄せる結果が得られた。このようにシミュレーションからは、宮古諸島に分布する津波石は、周辺の正断層(M7.5程度)で発生した津波で説明可能である結果が得られた。また、八重山諸島において島弧を横断する正断層群でM7程度の地震が発生した場合で、異常に高い波高が局所的に発生しうることが明らかになった。このように島弧での津波防災上重要な成果を得ることができた。 一方、石垣島東方沖断層で2005年に実施された深海無人探査機「ハイパードルフィン」潜航調査の結果をもとに、その映像資料の解析によって断層沿いの鉛直地質断面図を作成する作業が進行中である。この断層の北部に当る測線を解析し、主断層の他、基盤岩に当る石灰岩を断ち切る多くの新鮮な副断層が分布していること、断層崖の直下には崩落したと見られる礫が分布していることなどが確認された。副断層の方向は、主断層の両側で傾向が異なり、東側では平均N129.2°E、標準偏差11.4°と、ほぼ主断層に平行に揃っているのに対し、西側では平均N103.9°E、標準偏差48.6°と、かなりのばらつきがあることが確認された。これは、主断層の両側での応力場の違いを反映したものと見られる。
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