研究概要 |
回転円筒水槽の底に円錐形傾斜を入れて地形型ベータ効果を導入した実験を行い、これまでに波数2波動流は傾斜が0.4以上で準地衡風的渦度方程式に従い上方に伝播し、ドリフト回転が遅くなることを発見した。今回は、波数1波動流と軸対称流では理論的には波数2波動流より強くベータ効果が現れると期待されるので、波数1波動流と軸対称流の鉛直伝播について実験することから始めた。平成18年度は、実験し易い軸対称流について、各高さにおける流速の精密測定を行った。実験では、この方法で期待どおり、波数2波動流よりははっきりとべータ効果が得られた。平成19年度は、鉛直伝播の影響が子午面の温度場と流れ場に現れると考え、半径方向の温度差の測定およびウラニンによるラグランジュ軌道の測定を行い、ベータ効果の影響をはっきりと捕えることができた。これらの結果は、論文にまとめ投稿中である。 今回の研究では、オランダEindhoven University of TechnologyのHeijist教授の実験グループおよびドイツUniversity of Munich, Dr. GolerのMeteorology laboratoryを訪問し、実験の見学、講演、議論をして、実験について理論的および技術面で有益な成果を得た。特にこの実験の中で用いた染料を用いた流れの可視化は、流体実験で広く用いられているが、Eindhoven University of Technologyの実験室で渦の運動の可視化のためにこの方法を沢山用いていることからヒントを得た。この方法は今回の実験で極めて有効であった。さらに、訪問中の議論で、傾圧層で生成された流れに対しても円錐型傾斜を入れて地形型ベータ効果を起こすことができると言う考えに支持を得たことは、本研究の進展に大いに役立った。
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