研究概要 |
これまでの作業により成層圏・中間圏まで拡張されたCHASERモデルにより現在のオゾン分布を再現するシミュレーション(現在気候値実験)を行った。また本診断シミュレーションの結果(オゾン・前駆気体などの分布)について観測データを用いて詳細な評価を行った。特に対流圏オゾン/関連気体については研究代表者によるこれまでのCHASER開発過程においてオゾンゾンデ・航空機(NASA/GTEキャンペーン等)・地表各観測データを用いた評価方法が確立されており(Sudo, et al., 2002b)、本研究においてもこの方法を適用し評価を実施した。対流圏中の物質分布に関しては最近の衛星観測データ(GOME、 MOPITT、 TOR)が利用可能であり、これらを用いて対流圏オゾンや汚染前駆物質分布の計算結果を評価した。一方で、成層圏オゾン変動の再現性については、衛星データの整備に留まり、実質的な評価は次年度の課題である。 さらに、全球オゾン分布の20世紀再現実験に必要な入カデータ(オゾン前駆気体・メタンemission、ハロゲン化学種濃度、海面水温分布等の過去データ)を整備した。前駆気体(NOx, CO, VOCs)やメタンの過去のemissionについては欧州のグループがRETRO(各40年間のemission)やEDGAR/HYDE(過去100年間のemission)などの各プロジェクトを通じてまとめたデータを取得しCHASERモデル用に加工した。
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