研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、極から赤道までの電磁エネルギー伝送を電離圏固有の特性として捉え、その内部磁気圏・磁気圏尾部へのエネルギー伝送に果たす役割を検証することである。今年度は以下の2点を中心に研究を行い、成果を得た。(1)極からサブオーロラ帯に拡がるIMAGE磁力計観測網、昼側磁気赤道の磁力計観測点(INTERMAGNET)とSuperDARNのデータを利用し、対流電場及びサブオーロラ帯を中心とする遮蔽電場の発達と減衰に関して時間的、空間的な特性を調べた。IMAGE磁力計観測網のデータにより、サブオーロラ帯から低緯度側で対流電場の遮蔽が生じる事例を31例抽出し、解析を行なった。その結果、14-19MLTの磁気緯度62〜64°付近を中心に低緯度側で対流電場が遮蔽され、同時にオーロラ帯で逆に対流電場が強まることが明らかになった。これまで対流電場の遮蔽は、IMFの変動に伴い対流電場が弱まることにより、領域2沿磁力線電流にともなう電場が電離圏で顕在化するためであると解釈されてきた。しかし、31例中17例が、顕著なIMFの変動や対流の減衰を伴わず、領域2沿磁力線電流が発達したことを示唆する結果であった。これらの17例については、夜側のサブストーム爆発相開始時に夜側中緯度で観測されるポジティブベイより、1〜数分前に遮蔽が始まっていることが明らかになった。遮蔽電場の急速な発達とサブストーム電流系の発達の関係を明らかにするのが今後の課題である。(2)磁力計観測網と電離層観測と、さらに電離圏電場ポテンシャルモデルの計算結果を合わせるために、角村氏、長田氏(京都大学)によるプログラムを引継ぎ、吉備国際大学に移植をし、計算結果の検証を始めた。極域のレーダー観測、磁力計観測から推定される領域1及び領域2沿磁力線電流の位置や強度を電場モデルに設定し、磁気嵐時の中緯度の電場とさらに遮蔽電場を定量的に見積もるためにさらに改良が必要である。
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吉備国際大学政策マネジメント学部研究紀要 第3号
ページ: 9-18
ページ: 31-41
Annales Geophysicae 24(6)
ページ: 1591-1608
Journal of Geophysical Research 111, A07313
ページ: doi:10.1029/2005JA011562