研究概要 |
アジア大陸東縁に分布する衝突帯の深部過程を解明する本プロジェクトは,今年度,3カ年計画の最終年度にあたる。今年度の成果は以下の通り。 1.ベトナムコンツム地塊を例に大陸衝突による,極限変成作用の時期とマントル起源の玄武岩質マグマの活動時期が一致することを明らかにした。また,この玄武岩質マグマはマントルプルームに由来することが化学組成の面から明らかとなった。 2.コンツム地塊と同様にゴンドワナ大陸形成時の衝突帯と考えられる東南極ドロンイングモードランドの火成作用の特徴から,大陸衝突境界に相当する地殻-マントル境界を検討した。この結果は,大陸衝突帯地域における衝突境界を見出す上で有用な手法となりうる。 3.大陸衝突帯の火成活動の特徴を検討した結果,マグマの起源物質は,沈み込むプレートから持ち込まれた地殻物質によって汚染されたマントルとプルーム型のマントル組成の特徴をあわせ持つことが明らかとなった。 以上から,大陸衝突帯の深部で起こる変成作用や火成作用は,地殻とマントルの相互作用によって引き起こされることが明らかになった。すなわち,マグマの起源マントルの組成は地殻の影響を受け,そのマグマを熱源として地殻物質は変成作用をこうむる。このようなプロセスが,衝突帯の深部では,普遍的に起きていると推察される。
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