研究概要 |
平成20年度の調査・実験は以下のようにまとめられる.すなわち 1.上総屑群の塊状タービダイト砂岩屑の粒子配列を検討した結果,(1)粒子のa軸とb軸が明瞭な面構造をつくっており,上流に20-30度のインブリケーションを示すこと,(2)級化砂岩層下部の塊状部も同様の組織を示すこと,(3)インブリケーション角をマッピングすると,高角度部分と低角度部分が鉛直方向に繰り返すこと,(4)塊状砂岩層の下部ほど高角度部分が支配的であること,(5)これらは,誓願時軽石層を例とした火砕流堆積物の特徴と共通すること,などが明らかになった. 2.平成20年度の調査結果と併せると,渦の抑制された混濁流下にいける高領域流れによる掃流輸送によって上流移動するベッドフォームの形成とバックセット堆積が示唆される. 3.障害物洗掘痕形成を3次元的に再現する水槽実験を行ったところ,(1)その洗掘痕の平面形態は,障害物後方で2条に分かれること,(2)障害物の高さに匹敵する深い洗掘痕の形成には,障害物の高さの3倍以下の厚さの流れを要すること,(3)梅ケ瀬層の例では,混濁流の厚さが1mほどと見積もられること,などが明らかとなった. 4。低比重粒子を用いた小規模な重力流の水槽実験を行った結果,(1)比較的高濃度の重力流の下部が,混濁流に駆動された粒子流とみなせること,(2)なだれの粒子流とは停止・堆積様式が異なるため,逆級化しないこと,(3)重力流堆積物の多重逆級化構造は,アンチデューン形成を示す可能性の高いこと,などが示された.
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