研究課題/領域番号 |
18540456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
横山 俊治 高知大学, 理学部, 教授 (20325400)
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研究分担者 |
柏木 健司 富山大学, 理学部, 助教授 (90422625)
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キーワード | 線状凹地 / 開口クラック / 地形図読図 / 空中写真判読 / 現地踏査 / 福岡県西方沖地震 / 新潟中越地震 / 地震性ノンテクトニック断層 |
研究概要 |
1/2.5万地形図読図・空中写真判読・現地踏査の成果を相互に比較して、線状凹地・開ロクラックの検出精度を検討した。1/2.5万地形図読図では、池や湿地、小凹地などの記号が線状凹地検出の手がかりになるが、そのような手がかりが得られないところでも、2本以上の等高線に現れる規模のものは検出できる。ただし、線状凹地とその両側の山稜の比高が10m以下の場合は等高線に現れない場合もある。1/2.5万地形図で検出できる規模の線状凹地は空中写真判読でも検出可能で、地形図判読で曖昧な点が明確になることもある。現地踏査では、さらに小規模な線状凹地・開口クラックも検出可能である。仁淀村大引割では、規模の大きな線状凹地の周囲に小規模な線状凹地や開口クランクが多数分布していることが分かった。線状凹地・開口クラックの検出では、1/2.5万地形図読図から始めて、空中写真判読、現地調査と進めていく方が効率的であるだけでなく、全体の地形場との関係を検討する上でもこのような流れが現実的であると結論した。 地震時には尾根沿いを中心に多数の開口クラックが地震動によって発生することを検証するために、福岡県西方沖地震による玄界島、新潟県中越地震による地すべり発生地を調査した。玄界島では、地形の遷急線の近傍でそれに平行に多数の開口クラックが形成されているのが明らかになった。しかも、地震の震源(震央)と島とを結ぶ線にほぼ平行な方向の位置する側でのみ、開口クラックが発生していることが分かった。これは、震源から伝播したS波が進行方向に直交する方向に揺れることによって開口クラック群は形成されたことを示唆している。中越地震では、地すべりの頭部および頂部で、節理に規制された多数の開口クラックが発生したほか、節理に囲まれたブロックが転倒した。これらふたつの例は、地震動の地形的増幅が起こる尾根を中心に、地震時には多数の開口クラック(地震性ノンテクトニック断層)が形成されることを実証している。
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