研究概要 |
本研究は,従来行われている砂粒子以下の細粒堆積物の粒子配列解析法の中で最も簡便な帯磁率異方性(AMS)測定について,薄片の自動画像解析法による粒子配列の解析とX線CT法との比較を行ない,AMSを決定する要因を探ることを目的とする.解析対象として特に平行葉理堆積物を取り上げ,砂床上昇速度が平行葉理の形成および粒子配列に与える影響を明らかにする. まず初めにプレーンベッド形成領域で堆積物供給量すなわち砂床上昇速度を変化させて平行葉理を形成する実験を行った.その結果,砂床上昇速度が10cm/minに達しても平行葉理が形成されることが確認された.砂床上昇速度の増加に伴って平行葉理の幅が増加し,葉理の境界はシャープな境界から漸移的な境界へと変化する.一方,薄片の自動画像解析では,粒子数マッピングや粒度分布の変化から平行葉理を認識できることがわかった. X線CT法によりこれらの実験平行葉理堆積物の粒子配列を調べた結果,全体としては,流れに長軸が平行で水平あるいは上流側へ緩く傾く粒子,および,流れに直交して水平な粒子が卓越していた.長軸の上流側への傾きの平均値には,砂床上昇速度の変化に対して非常にわずかな変化しか見られなかった.粒子の形と向きを組み合わせて卓越した集団を探す5次元クラスター解析の手法を用いて解析すると,どの条件でも流れに平行でほぼ水平ないしは上流側へ緩く傾くクラスターと流れに直交して水平なクラスターが見られた.しかし,クラスターを形成する粒子の形状は,給砂量の最も多い場合と少ない場合で異なる.すなわち,給砂量が形と向きの組み合わせに影響を及ぼしていると考えられる. さらに同じサンプルについて薄片の自動画像解析法とAMS測定を行った結果,薄片の自動画像解析法とX線CT法で求められた長軸方向の平均値はほぼAMS楕円体の長軸と一致することがわかった.
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