研究概要 |
本研究は,砂粒子以下の細粒堆積物の粒子配列を示すとされる帯磁率異方往(AMS)を決定する要因を,薄片の自動画像解析法やX線CT法との比較により明らかにすることを目的としている.本年度はAMSを担う鉱物とその寄与度についてさらに詳しく検討することを目的とした.水路実験でよく使われる豊前珪砂を対象として,その組成ならびに磁気特性を調べた上で,帯磁率測定,X線CT法,薄片を用いて粒子配列を調べ比較した. 豊浦珪砂に含まれる・磁性鉱物は微量なので、まずそれらを3種類の磁力の違う磁石(ferrofilter,cormax,neomax)で取り出し,最後に残った鉱物ならびに豊浦珪砂全体の2種類を加えた合計5種類の試料を用意した.さらにそれらに対して沈降実験と粒子流実験を行い,10種類の試料を作製した.それぞれの試料についてヒステリシス解析・磁化率異方性測定を行い,さらにFE-SEMによる半定量解析及びX線粉末回祈解析を行った.その結果、豊浦珪砂には右英,斜長石,カリ長石、角閃石,ガーネット,ルチル,黒雲母,イルメナイト、マグネタイトが含まれている事がわかった.磁性を担う鉱物としては,イルメナイトが圧倒的に多いこともわかった. X線CT像の撮影は(財)高輝度光科学センター大型放射光施設(SPring-8)のX線CT装置(SP-μCT,BL20XU)で行った。鉱物の化学組成と密度からLACの理論値を求め,得られたCT画像のLAC値のヒストグラムと比較してすることにより磁性鉱物と磁性を持たない鉱物を画像上で分離した.その結果得られた粒子配列を薄片やAMSと比較すると,X線CTと薄片の結果は似通っているが,AMSはサンプルにより大きく異なる結果を示すものがあった.強い磁性を持つ鉱物の存在率が高いと,それらのサンプル内での空間的分布がAMSに影響を与える可能性がある.
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