研究概要 |
今年度は,昨年度末に行った高温X線回折のデータを慎重に解釈するところからスタートした.そのために,残りの試料を用いて,MPMS高温炉によって120℃から460℃の範囲で20QC間隔の詳しい熱磁気分析を行った.また,これに対応した高温ヒステリシス測定も行った.この結果,高温X線回折の結果との1対1対応は,磁化強度だけに基づいて行うのは簡単ではなく,誤解を生むかも知れないことが分かった.この問題を解決するために高温ヒステリシス測定を高知大で行ったところ,保磁力の変化を求め,磁化測定とともに解釈するのが有効であることが分かった.しかし,残念ながら両装置のクロスキャリブレーションが終わった時点で用意した試料を使い切ってしまい,十分な実験ができなくなった,そこで,研究協力者である台湾地球科学研究所の洪崇勝博士より新しい試料を送ってもらい実験を行った.しかし,この新しい試料には不純物が含まれており,データの解釈がさらに複雑になってしまうことが分かった.そのため,今後新しい試料を自ら採取して実験をやり直す必要があることがはっきりした.このように現状は明確な結論を示すことができる段階にはいたっていない.しかし,どのように研究を進めればいいのかはかなり見通しがついてきたので,今後定年までの時間にこの問題に腰を据えて取り組み,しっかりした結論を得たいと考えている.
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