研究課題
エディアカラ化石生物群は、プレカンブリア代の末にみられる化石の一群で、「体節」が左右の正中線沿いに互い違いにぶつかる奇妙な左右対称性など独特の形態をもつ。従来刺胞動物、節足動物など様々な解釈がなされてきたが、帰属させるべき動物門を決定的に特徴づけるような形質が発見された例は無く、現在も謎の生物群として研究者の前に立ちはだかっている。最近Kimberellaと名付けられた化石が軟体動物に近い形態を持っているとの報告がロシアの研究者が中心となってなされている。この説の妥当性を検討するために、今年度は次のような研究を行った。・ロシア科学アカデミー古生物学研究所における白海産Kimberella化石の形態観察。・白海のKimberella化石産地の現地調査・ロシア科学アカデミー古生物学研究所のAndrei Ivantsov博士を京都大学総合博物館に客員教授として招聘し、現生軟体動物の解剖学的特徴とKimberellaの形態を比較検討また、生命にとって金属元素がきわめて重要な役割を果たしていることは、酵素の活性を担う補因子(cofactor)の70%以上に遷移金属イオンが含まれている事実から容易に推測がつく。一方これらの元素は、超新星の爆発で形成され、太陽系形成の際に地球にもたらされた。ただし、地球ではマントル対流による元素の地球内部への選択的移動、大気の酸化による海水中での溶存量の変動などによって生物にとって利用できる微量元素の量が地史を通じて大きく変動しており、当然生命進化にも大きく影響していると考えられる。そこで、ロシア科学アカデミー古生物学研究所のMichael Fedonkin博士とこの観点について討議した。
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Geological Society, London, Special Publications 286
ページ: 27-34
ページ: 103-113
ページ: 399-404