日本の第四紀アダカイトマグマの分布範囲を明瞭にするため、フィリピン海プレートの沈み込む関東から九州にかけての地域の第四紀マグマの地球化学的研究を行った。その結果、北東端は甲府北側火山群に属する黒富士岳であることが分かった。西南端はまだ確定できていないが、中部九州の由布・鶴見岳までは、アダカイトマグマの活動があったことを明らかにした(Journal of Mineralogical and Petrological Sciencesに公表済)。 本研究課題では、化学的情報と物理的情報の統合により、スラブメルティングの起こる物理条件を推定することを最終的な目標としている。そのためには、スラブメルトがマントルウェッジを上昇中に蒙る、マントル物質の反応による組成変化傾向を知っておく必要がある。そのために、当初の計画には無かった、カナダのカナダ楯状地スペリオル地帯ワビグーン帯北西部(2.7Ga)に産するアダカイトおよび同時期に活動した異なるタイプのマグマの成因関係に関する研究も行った(Island Arcに公表済)。
|