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2008 年度 実績報告書

沈み込むスラブが部分溶融する物理条件の推定

研究課題

研究課題/領域番号 18540473
研究機関京都大学

研究代表者

柴田 知之  京都大学, 理学研究科, 助教 (40332720)

キーワードスラブメルティング / アダカイト / 深発地震 / 沈み込み帯 / 物質循環
研究概要

日本の第四紀アダカイトマグマの分布範囲を明瞭にするため、フィリピン海プレートの沈み込む関東から九州にかけての地域の第四紀マグマの地球化学的研究を行った。その結果、北東端は甲府北側火山群に属する黒富士岳であること、西南端は中部九州の九重火山が、アダカイトマグマの活動域であることを明らかにした。アダカイト分布域のうち、中部日本と西南日本ではマグマ発生のスラブ深度は70km程度で、世界の他の地域と類似している。しかしながら、九州においては120km以深である。九州ではフィリピン海プレートの沈み込み角度が他地域と比べ急である。このことは、鉛直方向の沈み込み速度が大きい事を意味し、これによりスラブの深度に対する温度上昇率の低下が起こり、より深い深度で部分溶融が起こったと考えることで説明可能である。もしそうであれば、スラブの部分溶融を規制する条件は、スラブの脱水反応を規制する圧力(Tatsumi,1998 JGR)ではなく温度であると結論することが出来る。また予期せぬ成果として、黒富士周辺では現在はフィリピン海プレートの部分溶融がマグマ起源となっているが、後期中新世から鮮新世の間は太平洋プレートの脱水とそれによって起こったマントルウェッジの部分溶融が根本的なマグマ起源であり、さらにその初生マグマが地表まで上昇する過程でフィリピン海プレート由来の物質により汚染されたことが分かった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 阿蘇カルデラ北西壁に分布する先阿蘇火山岩 の地学・岩石学的研究 : 先カルデラ火山2009

    • 著者名/発表者名
      古川邦之, 三好雅也, 新村太, 柴田知之, 荒川洋二
    • 雑誌名

      地質学雑誌

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 甲府盆地北縁周辺に分布する火山岩類の地球化学的特徴の時間変化と沈み込み帯の構造との関係2008

    • 著者名/発表者名
      柴田知之, 芳川雅子, 輿水達司
    • 雑誌名

      MAGMA 89

      ページ: 1-16

  • [学会発表] 甲府盆地北縁に分布する火山岩類の地球化学的時間変化に対するフィリピン海プレートの役割2008

    • 著者名/発表者名
      柴田知之・芳川雅子・輿水達司
    • 学会等名
      鉱物科学会
    • 発表場所
      秋田
    • 年月日
      2008-09-20
  • [学会発表] The lateral variations of Sr, Nd and Pb isotopic and trace element compositions for Quaternary volcanics from2008

    • 著者名/発表者名
      T. Shibata, T. Kobayashi, K. Sugimoto, O. Ujike, J. Itoh, K.
    • 学会等名
      Asia Oceania Geosciences Society
    • 発表場所
      韓国・釜山
    • 年月日
      2008-06-16
  • [備考]

    • URL

      http://www.vgs.kyoto-u.ac.jp/InetHome/shibata/index.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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