研究課題/領域番号 |
18540476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安東 淳一 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (50291480)
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研究分担者 |
金川 久一 千葉大学, 理学部, 教授 (40185898)
富岡 尚敬 神戸大学, 理学部, 助手 (30335418)
井上 徹 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教授 (00291500)
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キーワード | 稍深発地震 / 蛇紋岩 / 塑性変形 / 固体圧式変形実験装置 |
研究概要 |
本研究の目的は、固体圧式3軸変形試験機を用いた蛇紋岩の変形実験を通じて、稍深発地震の発生過程とその発生メカニズムを明らかにすることである。本年度に行った研究の概要は以下の通りである。 A)変形実験について 変形実験(定歪速度実験)は、広島大学の改良Griggs型変形実験装置を用いて行った。実験試料には、長崎県長崎市に分布する長崎変成岩中の長柱状のアンチゴライトを主成分とする蛇紋岩を用いた。この蛇紋岩は、粒径約10μmから100μmのマグネタイトを多量に含み、片理面が発達する。この片理面に対して、高角度で斜交する約500μm幅のオリビンから構成される脈がわずかに存在する。片理面に垂直な方向から直径約7mm、高さ約7mmの円柱をくりぬき実験試料とした。実験条件は、封圧:約1GPa、温度:450℃、500℃、550℃、600℃、ピストンの変位速度:時速約570μm〜610μmである。 B)結果 1)降伏点を越えて定常クリープに達する前に応力降下が生じた。また、いずれの実験の回収試料中においても、断層の形成が確認できた。断層沿いの蛇紋石は脆性的に破壊されていた。以上の事は、実験中に認められた応力降下が、断層形成に伴って生じた現象である事を示唆している。 2)450℃、500℃、550℃における試料の最高強度はそれぞれ約1080MPa、960MPa、1080MPaである。これらの値は、Raleigh and Paterson(1965)の結果と調和的であり、封圧の増加によって蛇紋岩の最大強度が増加する事を示している。
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