研究課題
1.天然玄武岩の高圧相中に現れるカルシウムフェライト相の最主要端成分であるカルシウムフェライト型NaAlSiO_4について、示差走査熱量測定法により125〜405Kの定圧熱容量測定を行った。さらに、ラマン分光測定およびIR分光測定を行うことにより格子振動に関する情報を得ることができた。実測による熱容量と格子振動に関する情報に基づき、キーファーモデルを用いた理論計算を行うことにより、0〜1500Kの定圧熱容量および298Kでの格子振動エントロピーを決定した。当初の研究目的である熱力学的安定性を検討するための熱化学パラメータの取得を達成することができた。2.NaMgAl_3SiO_8およびKMg_2Al_5SiO_<12>六方晶相の2つについてリードベルト解析を行い結晶構造の精密化を行った。既に求められているCaMg_2Al_6O_<12>六方晶相も含めた結晶構造の比較から、NaAlSiO_4-MgAl_2O_4系においてのみNaAlSiO_4: MgAl_2O_4=1:1の組成で六方晶相が形成される理由が明らかとなった。このことに関しても当初の研究目的が達成された。3.予期せぬ研究成果として、カルシウムフェライト型MgAl_2O_4の安定領域の高温側にMg_2Al_2O_5組成を持つ新たな高圧相とAl_2O_3の分解相の領域が見つけられた。この新Mg_2A1_2O_5高圧相についてリートベルト解析により構造の精密化を行った。構造中に三角柱型のMgO_6配位多面体を持つのが特徴である。この三角柱型配位の陽イオン席は六方晶相にも見られるものであり、一連のカルシウムフェライトや六方晶相などの類似の結晶構造を結晶化学的に解析する上で非常に興味が持たれる。
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Physics of the Earth and Planetary Interiors 173
ページ: 1-6
ページ: 349-353
Journal of Solid State Chemistry 182
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Physics of the Earth and Planetary Interiors
ページ: Doi : 10.1016/j. pepi. 2008.07.028