研究概要 |
【元素分析】カナダACTLABS社に依頼して得られた希土類元素を含む68元素の分析結果について解析を行った。風化の度合いを示す指数CIA (Chemical Index of Alteration)に対して各元素の含有量をプロットした結果,Si, Alでは大きな変化はない,Ca,Naは減少する,など典型的な風化の挙動がみられた。また,24.5億年前の花崗岩風化プロファイルとは異なり,Pの減少はみられず,Ceが他の希土類元素と比べて増加するいわゆるCe anomalyがみられた。 【アパタイトの鉱物観察】やや風化の進んだsaproliteを用い,EPMAによる鉱物観察を行った。その結果,アパタイトが溶脱したと推定されるpit (relict apatite pit)及びFeに富んだ鉱物を伴った2次的REEリン酸塩鉱物がその周辺部に観察された。同様の鉱物は,24.5億年前の花崗岩風化プロファイルでもみられている。今後定量分析を進め組成を比較する予定である。 【アパタイトの表面観察】SEMによっても,relict apatite pitや2次的REEリン酸塩鉱物が観察された。しかし,Taunton (2000)の論文で報告されたrecently living organism line, mineralized microorganismsは観察できなかった。 【微生物の採取・培養】アパタイトが溶解した後のpit内部やリン酸塩鉱物表面に微生物を観察することができなかったため,その採取は不能であった。biotiteをピックアプしたものからは一般的な土壌細菌しか培養できていない。複数箇所の風化プロファイルからのサンプリングが必要である。
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