研究課題/領域番号 |
18540480
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研究機関 | (財)高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
舟越 賢一 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・極限構造チーム, 副主幹研究員 (30344394)
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研究分担者 |
下埜 勝 龍谷大学, 理工学部, 実験講師 (30319496)
大高 理 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40213748)
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キーワード | 高圧 / 粘性 / 融体 / 放射光 / アンビル / 鉄 / 硫黄 / ダイヤモンド |
研究概要 |
昨年度より引き続き、SiC/ダイヤモンド複合体アンビル作製の技術開発と高温高圧粘性実験を行った。 1.昨年度に放射光施設SPring-8を使って、一辺14mm角の立方体アンビルの高圧高温発生試験を行ったところ、室温下では最大38 GPaの圧力発生を達成できたか、温度が上がるとアンビルの表面か徐々に劈開し、試料内部温度が1000℃を越えたあたりで破壊してしまうことが判明した。このため、原料のダイヤモンドの粒径や、合成に使用するHIP装置の合成温度、真空度等の条件を変更し、アンビル材として必要な硬度と圧縮強度が最も高くなる条件の最適化を行った。このような改良の結果、試料内部の温度圧力を1600℃、17 GPaに保持することができた。 2.上記のアンビル4個と超硬アンビル4個を使って落球法による鉄-硫黄合金融体の粘性実験を行った。超硬アンビルだけの実験では14 GPaが限界であったが、15 GPa、1600℃までの実験に成功し、試料の融解を確認できた。しかし、同時に粘性測定用の金属落下球(Re、Ta、Au)か試料融体と化学反応し、これ以上の圧力温度条件の測定が困難であることも判明した。さらに高い圧力温度領域へ実験を拡大するためには、化学反応の問題を解決する手段を開発する必要がある。 3.昨年末に作製に成功した一辺25.5mm角立方体の大型アンビルの改良を進め、一辺26mm角立方体アンビルの作製に成功した。技術的にまた大量生産が困難なため、作製されたアンビル2個と、超硬アンビルを6個用いて高圧発生試験を行った。圧力発生効率は、同サイズの超硬アンビルを8個用いた場合とほぼ同程度を示し、20GPaまで加圧を行ったが破損することなく回収することができた。しかしアンビル自身のX線吸収量が大きく、現状ではアンビルを透かしてのX線回折やラジオグラフィー実験への利用が難しいことがわかった。
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