(1)堆積物試料データの再解析および新たな試料の分析と解析 昨年度に再解析したカリフォルニア沖堆積物試料およびバイカル湖堆積物試料に加えて、別のバイカル湖の柱状試料およびバイカル湖周辺に位置する湿原土壌の有機物分析を行った。バイカル湖堆積物および湿原土壌ともに花粉分析が行われているので、リグニン、脂肪酸、アルコール、ヒドロキシ酸、クチン酸、ステロールなどTMAH-GCMS法によって分析される多様な有機物の分析は大きい。現在それらの結果を合わせて、多変量解析を行っており、特に花粉と有機物の相関を解析している。 (2)植物の花粉、葉、茎採取および分析と解析 多摩森林科学園および本学内において針葉樹、広葉樹および草本類、約100種の花粉、葉、茎、樹脂などを採取し、TMAH-GCMS法による有機物を行った。植物の部位における脂肪酸組成の違い、葉のクチン酸組成の違い、茎のリグニン組成の違いなどが明らかになってきた。現在、地球化学の立場から、植生変化をみるための指標の作成を行っている。 (3)植物の花粉、葉、茎、樹脂の有機物組成のデータベース化 まず、本研究において分析した花粉、葉、茎、樹脂などのデータを種ごとに、有機物組成とそれぞれの有機化合物のマススペクトルのデータベースを作成している。これまで文献には脂肪酸、炭化水素などのデータは記載があるものの、リグニン、クチン酸についてのデータはほとんどない。ゆえに、本研究における幅広い有機物の組成を論文として発表すること及びデータベース化することの意義は大きい。
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