(1)Offline-TMAH-GCMS法の検討:これまで堆積物中のリグニン類の分析には、Online-TMAH-GCMS法を用いてきたが、分析精度や確度の良いOffline法の方が適当であることから反応条件の検討を行った。その結果、300℃、30分が最も適当であることが分かった。 (2)植物試料の分析と解析:針葉樹、広葉樹および草本類、約100種の花粉、葉、茎樹脂などを採取し、TMAH-GCMS法による有機物分析を行った。植物の各部位における脂肪酸、リグニン、クチン酸組成の違いなどが明らかになってきた。 (3)堆積物および湿原土壌試料の有機物分析と植生の検討:バイカル湖堆積物および周辺湿原土壌中の有機物分析結果を植生変動の観点から検討した。その結果、花粉分析の結果とリグニン、脂肪酸、クチン酸など多様な有機物組成をもちいた多変量解析の結果は、時代区分の観点において概ね対応していることがわかってきた。 (4)植物の有機物組成のデータベース化:分析した花粉、葉、茎、樹脂などのデータを種ごとに、有機物組成とそれぞれの有機化合物のマススペクトルをリンクしてデータベースを作成している。系統的な分析による幅広い有機物の組成をデータベース化することの意義は、地球化学的に大きな意義を持っている。
|