非線形磁気音波におけるイオン組成の効果を理論とシミュレーションで調べた。2種類のイオンを含むプラズマ中の磁気音波には、低周波と高周波の2種類のモードが存在する[3]。低周波モードの共鳴周波数ω_<-r>と高周波モードのカットオフ周波数ω_<+0>はイオンの組成に依存し、Δ_ω=(ω_<+0>-ω_<-r>)/ω_<+0>の値は2つのイオンの電荷密度が等しい時に最大となることが分かった。また、低周波モードの非線形の振る舞いはKdV方程式で記述されるが、そのKdV方程式が有効であるのは、低周波モードの非線形パルスの振幅εがε<2Δ_ωの範囲であることを理論的に示した。これは、ε>2Δ_ωとなると、低周波モードと高周波モードの非線形カップリングが起こることを予測する。次に、電磁粒子シミュレーションを用いて、長波長の低周波モードの擾乱の非線形発展を、様々なイオン密度比やサイクロトロン周波数比を持つプラズマについて調べ、この理論予測が正しいことを確かめた。特に、低周波モードの非線形パルスの振幅εが2Δ_ωを超えると、その非線形パルスから高周波モードの非線形パルスが生成されることが示された。 また、磁場に対して斜め方向に伝播する衝撃波中の電子の運動を多次元粒子シミュレーションで調べた。そして、波面に曲率があっても電子の捕捉と超相対論的加速が起きることを示した。さらに、一様磁場中の平面波の場合とは違って、捕捉粒子が高エネルギー状態を保持したまま、衝撃波から解放されることが明らかとなった。この解放は、衝撃波の法線と外部磁場とのなす角が、波面の位置により異なることによってもたらされる。
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