研究課題
基盤研究(C)
マグネトロンプラズマは、光学多層膜形成、磁性体薄膜形成、半導体製造における配線プロセス、超伝導薄膜形成など、さまざまな分野において用いられている。近年の薄膜形成の高精度化にともない、ナノレベルでの薄膜平坦性、多層膜の界面制御など、さまざまな要求が高まっている。例えば、磁気異方性を示すPt/Coなどの磁性多層膜においては、界面の平坦性や界面における原子のミキシングの抑制などが、膜の磁気特性に大きな影響を及ぼすことが知られている。しかしながら、スパッタによる多層膜形成においては、ナノレベルの界面制御は非常に難しく、その原因の解明と解決が課題となっている。このような界面制御において、スパッタプラズマ中における高エネルギー粒子の存在の重要性が指摘されている。本研究代表者らは、スパッタプラズマ中の希ガス高エネルギー粒子に着目し、質量分析法を用いた高エネルギー希ガス粒子計測手法を確立するとともに、高エネルギー粒子を制御する方法について研究をおこなった。その結果、マグネトロンスパッタ製膜時にはターゲット材料によってはスパッタ粒子フラックスに匹敵する多量の高エネルギーAr原子が製膜表面に到達する可能性があることを指摘するとともに、実際にエネルギー分析器付質量分析器を用いて、高エネルギーAr^+の存在を確認した。さらに、高エネルギーAr^+の発生機構に関する議論から、高エネルギーAr原子と背景Ar原子との衝突による電離の重要性を示すとともに、スパッタ表面および気相衝突を組み合わせたシミユレーションにより、高エネルギーAr^+発生を模擬し、Ar^+のエネルギー分布が実験結果をよく説明できることを示した。さらに、高エネルギーAr原子の抑制を目的として、VHF-DC重畳マグネトロンスパッタを提案し、スパッタ製膜速度を損なうことなく反跳高エネルギーAr原子の抑制が可能であることを示した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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