研究概要 |
液体が関与する放電方式として,水面上平行平板型バリア放電,水面上マングローブ型バリア放電,ピペット内単一気泡内放電,電気分解泡内放電,液中多孔質絶縁被覆金属上放電を実施し,その放電特性,発光特性,気相・液相に及ぼす影響を調べ,発光デバイスへの応用可能性を検討した. 水面上放電において十分な可視発光を得るには放電支援ガスとしてArやHeを必要とした.その際,液中有機化合物の分解が可能であり,気相で発生したOHの濃度と相関があることを見出した. 外部からガスを導入した単一泡内放電では,完全に蒸留水で包囲された泡内放電は不可能であり,泡内壁の一部が非液体となっている場合と蒸留水に金属微粒子を含有させたときにのみ長時間の放電維持が可能であり,泡の主構成要素である空気以外にも液体に含有されている金属の発光が得られることを明らかにした. 外部からガス導入を行った多数泡放電(マイクロバブル放電)では,泡導入によって発光強度や放電リーダーの長さは代わらないが,開始電圧を低減可能であることを明らかにした. 外部からガス導入不要な多数泡放電として,発光強度はまだ不十分であるが,水の電気分解による水素と酸素の微細泡内放電が可能であり,それぞれ水素,酸素に固有の波長での発光が得られることを明らかにした.また,多孔質絶縁膜で被覆された金属上でもエタノールを用いた場合に液中微細泡内放電が可能であり,エタノールが解離して発生する水素の発光と用いた金属に固有の波長の発光が得られることを明らかにした. 以上より,発光強度の増強という課題が残されたが,発光を伴う液中放電が各種方式にて可能であることを明らかにした.また,発光以外に液体の改質等への適用も可能であることを明らかにした.
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