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本研究においては次の5つのプロジェクトを遂行した。
1.Diels-Alder反応機構に関する研究
Diels-Alder反応機構としてブタジェンとジイミンの環状付加反応機構を分子軌道法を基にしたCiLC解析法によりその反応機構を調べた。その結果この反応が一段反応ではあるが電子的には段階的反応であることを見いだした。このことはジエノファイルによるDiels-Alder反応機構の設計・制御の基礎をなすものである。
2.[2+2+2]反応機構に関するπおよびσ軌道の芳香族性に関する研究
環状付加反応の一つである[2+2+2]反応は6員環化合物の重要な合成方法である。この機構に関しアセチレンの三量体付加を取り扱い、その遷移状態構造における芳香族性について調べた。この結果σ軌道に関しては遷移状態が最も大きな芳香族性を示す。
3.メタルーエン反応機構に関する理論的研究
先にぺり環状反応のグループ反応として知られているエン反応が必ずしも協奏反応ではなく段階反応である場合も多数あることを示した。この結果を踏まえ、Li及びNa金属エン反応機構に対し金属触媒反応に類似の反応機構であることを明らかにした。すなわち協奏反応ではなく段階的反応機構である。
4.クライゼン反応機構の解明
クライゼン反応機構の解析を行い一段反応であるが電子的に段階的性質を示した。
5.IMiC分子軌道法の新しい展開
溶媒を含めた系全体を等価な精度で計算できる方法として先に提唱したIMiC MO法をイオン錯体クラスターへ展開した。結果は全体を一度に取り扱った方法と比較し、十分満足の得られるエネルギー値及び構造を示した。
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