研究課題
有機半導体として、金属フタロシアニンは電子写真やゆうきELで広く利用されている。しかし、金属フタロシアニンは平面構造であり、難溶な顔料であるため精製が困難であり、薄膜作成にも真空蒸着が必要である。この難点を克服する方法として、可溶な前駆体から熱反応で金属フタロシアニンに変換する方法の開発を目指して検討を行った。類似の構造のテトラベンゾポルフィリン(TBP)は、ビシクロ[2.2.2]オクタジエン(BCOD)で縮環したポルフィリンを加熱すると定量的にTBPに変換されることを見いだしていたので、BCOD縮環テトラアザポルフィリンからの熱反応による変換を試みた。ポルフィリン合成は、低温で行えるのに対してアザポルフィリンの合成には加熱が必要であったため、BCOD環が加熱条件で逆Diels-Alder反応を起こし目的の前駆体を合成することは非常に困難であった。この問題を解決するために、(1)逆Diels-Alder反応の反応温度の高いビシクロ環の開発(2)逆Diels-Alder反応を起こさない二重結合の保護基の開発(3)100℃以下での環化の検討をした。それぞれの方法で可溶なフタロシアニン前駆体の合成に成功したが、材料としての評価は、(1)の方法で得られた前駆体で実施した。塗布により、p-型半導体の薄膜の作成に成功し、移動度0.06cm^2/Vs、on/off=1.8×10^4の電界効果型トランジスタ(FET)特性が得られた。これは、塗布で作成されたナフタロシアニンの最初のOFETである。フタロシアニンの薄膜を真空を使わずに塗布で作成できることを示したことができたので、意義深い。(2)(3)の方法で合成された前駆体については、サンプルが少量であること及び純度に問題があり、トランジスタ評価に至っていない。
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