ジカチオン性(BINAP)Pd触媒の新しい簡便な調製方法を確立することができた。 (BINAP)PdCl_2とAgSbF_6(2当量)をモレキュラーシーブス3A共存下で脱水DMF中で撹拌した後、そのままアセトフェノンからのシリルエノールエーテルとアルデヒドを加えることで、ほとんど以前に報告された複雑な反応操作にもとづく結果と比べて、不斉収率の低下なく高化学収率で対応するアルドール生成物が得られた。キラル配位子をBINAPからsparteineに代えて同条件下で反応させて、不斉収率でより優れた結果を得た。これは新しい反応である。非常に興味ある知見として、ジカチオン性(BINAP)Pdと(sparteine)Pdの触媒としての働きに著しい違いがあることが判明した。すなはち、ジカチオン性(BINAP)Pd系ではプロピオフェノンからのシリルエノールエーテルでは全く反応しないが、ジカチオン性(sparteine)Pdでは反応が進行した。その結果として、いままでPd-catalyzed asymmetric aldol reactionにおいて達成されていない鎖式立体制御の研究が展開可能であることが明らかになった。さらにまた、ジカチオン性(sparteine)Pd系触媒ではケトンに対しての不斉アルドール反応が起こることを見出した。3級アルコールを不斉構築することは従来非常に困難であったから、この展開は価値がある。 以上のように、Pd-catalyzed asymmetric aldol reactionの新しい簡便な反応操作の確立のもとで、sparteineをキラル配位子とした有効な反応系が誕生した。
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