研究概要 |
モノアニオン性の2座配位子であるジピリルメテン部位を繰り返し単位として含む新規ポルフィリノイドは特徴ある多核錯体の合成が可能である。平成18年度に開発した1,3-フェニレンスペーサー、2,5-チエニレンスペーサー、2,6-ピリジレンスペーサーを有する特徴あるポルフィリノイドと[Rh(CO)_2Cl]_2の反応により、テトラフィリンのRh_2複核錯体、ヘキサフィリンのRh_3三核錯体、オクタフィリンのRh_4四核錯体の合成を行い、X線結晶構造解析によりその構造を確定した。これらの多核錯体においてはポルフィリノイド骨格の構造変化が抑制されるのに伴い、複数の金属の空間的配置も固定される。これらの錯体は溶液中においても結晶構造とそれほど変わらない対称性の高い構造を保っていると考えられる。ボウル型形状のRh_3三核錯体、サドル型形状のRh_4四核錯体はホスト分子として見た場合にも非常に興味深い構造を有し、後者の結晶構造ではクロロホルムなどの溶媒分子の空洞内への取り込みが見られた。また、テトラフィリンのRh単核錯体と[Pd(C_3H_5)Cl】_2の反応により合成した異種複核有機金属錯体ではπアリル基のコンフォメーションがシン型およびアンチ型をとる構造異性体の存在が確認できた。また、ジピリルピリジンを構成単位とするポルフィリノイドの合成研究により新規な籠型分子の生成が可能となった。この化合物は現時点ではその金属錯体の合成には成功していないが、フェノールやカルボン酸をバインディングすることのできる優れた機能を有することが明らかになった。
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