研究概要 |
金属に対するモノアニオン性の2座配位子として機能するジピリルメテン部位を繰り返し単位として含む新規ポルフィリノイドは特徴ある多核錯体の合成が可能である。その合成ビルディングブロックとして2種類の新しいビピロール誘導体の開発を行った。鈴木カップリング反応により、種々の芳香族スペーサーを有するα-無置換ビピロール、及び、種々の置換基を有するビスアザフルベンを高収率で得た。これらの合成ビルディングブロックの反応により、1,3-フェニレン、2,5-チエニレン、2,6-ピリジレンなどのスペーサーを有する特徴あるポルフィリノイドを高収率で得ることが出来た。これらの薪規ポルフィリノイドを用いて、テトラフィリンのRh複核錯体、RhPd複核錯体、ヘキサフィリンのRh三核錯体、オクタフィリンのRh四核錯体の合成を行い、X線結晶構造解析によりその構造を確定した。これらの多核錯体においてはポルフィリノイド骨格の構造変化が抑制されるのに伴い、複数の金属の空間的配置も固定される。ボウル型形状のRh3三核錯体、サドル型形状のRh_4四核錯体はホスト分子として見た場合にも非常に興味深い構造を有し、後者の結晶構造ではクロロホルムなどの溶媒分子の空洞内への取り込みが見られた。また、テトラフィリンのRhPd異種複核有機金属錯体ではπアリル基のコンフォメーションがシン型およびアンチ型をとる構造異性体の存在が確認できた。また、ジピリルピリジンを構成単位とするポルフィリノイドの合成研究により新規な籠型分子の生成が可能となった。この化合物は現時点ではその金属錯体の合成には成功していないが、フェノールやカルボン酸をバインディングすることのできる優れた機能を有することが明らかになった。
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