研究課題/領域番号 |
18550061
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
石井 洋一 中央大学, 理工学部, 教授 (40193263)
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研究分担者 |
田邉 資明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教務補佐員 (20384737)
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キーワード | カリックスアレーン / キャビティ / 銅錯体 / 銀錯体 / レニウム錯体 / 混合金属二核錯体 / 高次構造化 |
研究概要 |
カリックスアレーン類はキャビティと呼ばれる包接サイトと配位部位を併せ持つ興味ある分子であるが、キャビティ空間の特質を積極的に利用したカリックスアレーンの配位化学は未開拓の分野である。本年度の研究では、昨年度にキャビティ内部に構築することに成功したRe-Ag錯体およびRe-Cu錯体上にアルキンを取り込ませた際のアルキン置換基と、取り込み速度ならびに錯体の安定性について詳細に検討した。アルキン混合物を利用した競争反応を追跡することにより反応の選択性を調べた結果、Re-Ag錯体では取り込み自体は速く、反応初期から生成物はほぼ平衡状態の比で得られた。また、生成する錯体の安定性はMe_3SiC=CSiMe_3>PhC=CMe>PhC=CPh>PhC=CHの順であることがわかった。一方、Re-Ag錯体では速度論的な生成しやすさと平衡状態における熱力学的な生成しやすさは異なっており、速度論的には置換基の立体的な嵩高さが支配的な要因となりPhC≡CH>PhC≡CMe>PhC≡CPh>MeOOCC≡CCOOMe>Me_3SiC≡CSiMe_3の順で生成しやすいが、熱力学的な安定性はPhC≡CMe>PhC≡CH〓MeOOCC≡CCOOMe〓Me_3SiC≡CSiMe_3>PhC≡CPhであることが明らかとなった。Cuの結合半径がAgより小さいことを反映して、Re-Cu錯体の熱力学的安定性はRe-Agよりも立体的に小さなアルキンが有利である。このほか、Re-Ag錯体へのジニトリルの導入により、カリックスアレーン錯体の二量化および無限鎖状の高次構造化にも成功した。
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