自己相関法は、基準となる時間の光信号に対する特定の時間変化を求める手法であり、光散乱法や蛍光法に適用され、今日分光法として最も着目されている手法の一つである。近年では細胞内タンパク質の挙動やダイナミックスなどの解析に用いられているが、本年度は、確実に自己相関蛍光分光法を取得する方法を目指し、フロー系における直径1-10μmの蛍光ビーズを用いて、様々な光学系における検討を行った。なお自己相関はALV社の自己相関計で算出した。 光源にはHe-Cdレーザーの325nmを用いた。まず低屈折率テフロンであるテフロンAF2400に光源光を導入し、導波路における蛍光ビーズの自己相関蛍光を観測した。さらにHPLC用蛍光検出器のフローセルを用いて、通常の直角方向からの励起と蛍光のピンホールによる検出をおこなった。さらにダイクロイックミラーをもちいた、共焦点光学系を組み立てた。 現在までかろうじて1μmおよび10μmで自己相関関数に差異が認められたが、感度不足(粒子1つ1つを識別して検出するに至っていない。これは自己相関蛍光分光法の光学系の組み方による問題であり、光学系の軸だし、焦点面での結像など、システム全体の見直しを続けている。本年度内には、測定系を完成すべく、現在も努力を続けている。なお細胞の変形については、シリカナノ粒子を用いたクロレラ細胞の分裂異常を見いだしており、測定の利用対象については、本法の活用法は見いだしている。
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