研究課題
基盤研究(C)
様々な置換基を有するサレン-およびホモサレン-アルミニウム錯体を調製し、ε-カプロラクトン(CL)の重合に対する置換基の立体効果、および電子効果について詳細に調べながら触媒を設計した。配位子とトリエチルアルミニウムとの反応では、副生成物として化学的に安定なエタンが生成するだけであり、触媒を単離精製する必要がない。このため系中で合成した触媒をそのまま用いて検討を重ね、最適配位子を設計した。その結果、サレンよりもホモサレン型触媒を用いた方が重合速度が大きく、またバックボーンにジメチル置換基を導入すると室温で効率よく重合が進行した。また、サリチルアルデヒド由来部位に導入した置換基効果により、嵩高い置換基が重合速度を大きくすることが明らかとなった。Me基を導入すると重合活性が大きく向上し、iPr、tBu、Me_3Siと嵩高い置換基を導入することで、1mol%の触媒を用い、室温、10分でモノマー転化率は90%に達した。このサリチル部位の置換基効果は、ラセミラクチドの立体効果と全く逆であり、興味深い。特に、ラクチドとCLの共重合では、ラクチドの単独重合性が高く、ブロック今日中剛性の高いポリマーしか合成できないことが知られており、今後、共重合の検討を行う予定である。また、これまで行ってきたラセミラクチドの高立休選択的重合反応における、立体選択性発現がポリマーの末端鎖によるものであることを明らかにし、錯体のX線結晶構造解析から得られた錯体構造を利用してモノマーの立体化学(エナンチオマー)をどのように識別しているのか反応機構モデルを提唱することに成功した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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