官能性開始剤及び官能性停止剤停止剤を用いたスチレンのリビングアニオン重合を利用して、鎖末端にアミノ基とカルボキシル基を有するヘテロ2官能性ポリスチレンを合成した。次に、その分子内アミド化反応を高度希釈条件下で行い、アミド結合を有する環状ポリスチレンを合成した。さらに、アミド結合をヒドリド還元することで、アミノ基を有する環状ポリスチレンへ誘導した。この環状ポリスチレンの存在下で、メタクリル酸メチルのバルク重合を、過酸化ベンゾイルをラジカル開始剤として行った。得られたポリマーを真空下、180℃で加熱することにより、溶媒に不溶となることがわかった。核磁気共鳴スペクトル及び蛍光スペクトルから、環状ポリスチレンの存在下でメタクリル酸メチルの重合を行うことで、ポリメタクリル酸メチルの主鎖が環状ポリスチレンの糸通しを行い、擬ポリロタキサン構造が形成されていることが示唆された。その後の熱処理によって、線状主鎖中に存在するエステル基と環状ポリスチレンのアミノ基との間で熱的アミド化反応が進行し、結果として、移動架橋構造を有する非共有結合型の三次元高分子が生成したことがわかった。あらかじめ、可溶・可融な擬ポリロタキサンを経由することで、種々の形状を有する三次元高分子を構築する新しい手法を見出すことができた。
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