研究概要 |
昨年度は、種々のモノおよびビス(フェノキシ)タンタルおよびニオブ錯体,MCI_<5-n>(OC_6H_3R_2-2,6)_n(M=Ta,Nb;n=1,2;R=H, Me, Pr, Ph),に適当なアルキルアルミニウム化合物を助触媒として加えた系が、ノルボルネン(NBE)の開環メタセシス重合(ROMP)に対して非常に高い触媒活性を示すことを見出した. 本年度は、これらの触媒系を用い、ノルボルネン以外の環状オレフィンモノマーの重合を検討した。モノマーとしてジシクロペンタジエン(DCPD)、シクロペンテン、1,5-シクロオクタジエン、1,5-ジメチル-1,5-シクロオクタジエン、α-ピネンおよびアセナフチレン等の重合を検討した結果、本触媒系はこれらの中ではDCPDの重合に対してのみ高活性を示した。かさ高い置換基を導入した触媒系はDCPDの二つのC=C二重結合のうちノルボルネン骨格側のみを選択的に開環重合し、可溶性の高分子量ポリマーを与えることを見出した。また、本触媒系によるNBE重合は高分子量のポリノルボルネンを与えるが生成ポリマーの分子量の制御が困難であった。そこで、連鎖移動剤として直鎖状オレフィンを添加することによる生成ポリマー分子量の制御を検討した。連鎖移動剤として1-hexeneを添加したところ、生成ポリマーの分子量は仕込みの[NBE]_0/[1-hexene]_0に依存し、分子量の制御が可能になった。さらに、hinokitiolato, biphenolato,およびbinaphtholatoなどのキレートフェノキシ配位子を導入した5族遷移金属錯体のノルボルネンのROMP触媒挙動を検討した。これらの錯体も比較的高いNBE重合触媒活性を示したが、単座フェノラート錯体系と比較すると低活性であった。
|