研究概要 |
1. らせん高分子が示す圧電性の実験的理論的解析 らせん高分子であるL型ポリ乳酸(PLLA)は,高分子としては大きな圧電率を持っている.しかし,PLLAの圧電性は,無機圧電体と比べると,その大きさが一桁以上小さい上に耐熱性(ガラス点移転Tg〜60℃)にも劣る等の欠点を持つ.これを解決するためには,PLLAの高次構造体において圧電性に寄与する非晶部の改質が必須である.そこで我々は,最近高分子構造体を改質することで,注目を集めている超臨界CO_2処理を施すことで,昨年度得られた高次構造体の最適化を更に推し進め,圧電性の向上を目指した.その結果,PLLAの圧電性を二倍以上向上させることに成功した. 2. 新しいコンセプトにもとづく繊維型圧電actuator素子の試作 繊維型圧電actuator素子用振動板に正弦波信号を与え振動させ,NCC-hrad回路(圧電体の見かけの弾性率を高める作用する負性容量回路)を動作させると,振動振幅が約60%に変化することを見出した.更に対して,前年度から引き続き研究を進めている超臨界CO_2処理したPLLAを使った場合,振動振幅が約10%にまで下がることが分かった.即ち,超臨界CO_2処理したPLLAを使用することでNCC-hrad回路による振動制御がより三倍近く効率的に行えることを見出した.これにより,振動制御がより効率的になり,らせん高分子を用いたfiber型laserメスの実用化の可能性を示すことができた.
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