NOx処理触媒として活性なロジウム、パラジウム上に生成する表面窒素の除去過程は、(1)窒素原子の再結合、2N(a)→N2(g)、(2)中間体分解機構、N(a)+NO(a)→N_2O(a)→N_2(g)+O(a)、(3)中間体脱離機構N_2O(a)→N_2O(g)の外、水素還元では、アンモニア生成がある。生成分子の脱離の空間分布の違いを利用して、これらの過程の分離測定が可能である。特に本研究では低温域で主要な窒素除去を担う(2)と(3)の過程がアルカリ金属の共存で変化する様子を明らかにした。 (I)アルカリ金属なしではロジウム、パラジウム上ではN_2O分解から放出される窒素の空間分布は特異で、[001]方向に表面にほぼ平行に斜めに集中する。ロジウム(100)面では、NOの定常的還元中に窒素は500-750Kの温度域で、斜めに4方向(4回対称表面)に脱離が起こる。すなわち径路(2)が有効である。高温域では径路(1)が優勢で、窒素の脱離は表面垂直に指向する。NO圧が10^<-7>-10^<-4> Torr域の条件である。 (II)この表面にアルカリ金属(セシウム)を吸着量0.2単分子層まで吸着し、NO+D_2→N_2+D_2Oの定常反応を行い、生成する窒素の空間分布を測定することに成功した。窒素分子は750K以下で余弦則分布に従った。すなわち、径路(2)はアルカリ金属の共存で消滅している。これはアルカリ金属が酸化状態にあり、NOを硝酸塩として捉えてから放出するためである。硝酸塩の分解過程での窒素の放出機構はまだ明らかではない。
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