研究概要 |
極性ゲストの動的挙動や集団状態について、ゲストが3、1次元配列した場合を次の1、2に、もう一つの目標、スピンが絡む物性開発を3に述べる。 1.【N(CH3)4】【MCu(CN)4】・G系、M=Cd,G=HCCl3(A)、M=Zn,G=CH2CI2(B)の各包接体。Aでは、ゲストの運動性に応じた3つの相があるが、温度可変X線回折より高温相から低温相へ結晶構造の対称性が低下が示され、1次転移であることが確認できた。8の誘電率測定より、130K付近でCH2(羽分子の再配向運動が急激に低下し秩序化が見られたが、熱容量測定より、Aと異なり、この相転移は2次転移であることが示唆された。これは、ホスト成分のCdとZnの配位構造柔軟性の差が要因と思われる。 2.Cd(1,6-da)N量(CN)4フルオロベンゼン包接体。固体NMR、誘電率で示されたフルオロベンゼンの反転運動が低温でどのように落ち着くかを検証するため熱量容量測定を行った。60Kにガラス転移が観測されたことより、無秩序な配向を維持したまま反転運動が凍結することが判明した。これは一次元lsi皿gモデルの帰結と同じで、現実には三次元構造を持つ本包接体の包接場が一次元相互作用の楊として有効であることが示された。 3.Fe(bpy)Ni(CM)4・2.5H20・G(G=エタノール、アセトン)包接体。各包接体においてスピンクロスオーバー(SCO)が確認されていたが、SCOサイト問を連結する相互作用の情報を得るため重水素化ゲスト包接体のSCOを磁化率から評価した。水よりもGの重水素化がSCOに大きな変化を与えたことから、Gが包接体内で一種の化学圧力の媒体となりSCOサイト問を連結し協同現象の要因となっていることが示唆された。また、アセトン包接体ではヒステリシス・ループの拡大という例のない現象を発見した。
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