人間の味覚・嗅覚のように認識特性の異なる多数のセンサーをアレイ状に並べた蛍光センサーアレイを作成し、分析対象とする分子群の分子骨格の違いをセンサーアレイの応答性の違としてパターン化したデータベースを作成し、未知の分析対象分子がどのような分子骨格を有しているかを、データベースと比較することにより推定するシステムを構築することを本研究では目的としている。このセンサーアレイを作成するためには、多種多様な応答を示す多種類のレセプターを用意する必要があるが、本研究では申請者らが最近開発した分子骨格を識別するレセプターおよび従来から研究を行ってきたレセプター群に多様性を持たせるような化学修飾をさらに行うことにより作成する。 昨年度作成したグルコースが6個からなるα-CDを基本骨格とした蛍光センサーの分子認識特性について、さらに検討を行った。ハロゲンの種類、置換数の異なる様々なハロメタンに対する認識特性を評価し、置換数が多いほど応答性が高いことがわかった。水質汚染物質であるハロメタンには様々な誘導体が存在するが、今回合成したレセプターはハロゲンの種類や置換数の違いを識別できることがわかった。また、レセプターの分子認識特性を多様化をするために、β-CDの分子認識サイトの拡張を試みた。β-CDの一級水酸基側にアルキル鎖を導入したところ、より大きな分子を認識可能であることがわかった。一方、小分子に対する応答性は低下し、分子認識特性を多様化することができた。
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