研究課題/領域番号 |
18550125
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木田 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20234297)
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研究分担者 |
明石 満 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20145460)
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キーワード | ポリマー認識 / 立体規則性ポリマー / シクロデキストリン / ポリメタクリル酸メチル / 包接錯体 / 擬似ポリロタキン |
研究概要 |
本研究では、特定の構造をもつゲストポリマーを高選択的に識別できるホスト分子として、γ-シクロデキストリン(γ-CD)に着目し、これを用いて立体規則性ポリマーの認識を行った。ゲストポリマーには、イソタクチックポリメタクリル酸メチル(it-PMMA)、シンジオタクチックポリメタクリル酸メチル(st-PMMA)、アタクチックポリメタクリル酸メチル(at-PMMA)を用いた。ゲストポリマーのジオキサン溶液にγ-CDを添加し、80℃で3時間その後室温で3日間撹拌し、生じた沈澱を洗浄・乾燥後、X線回折、NMRにより解析を行った。 ゲストポリマーにit-PMMAまたはat-PMMAを用いた時、γ-CD添加により水に不溶の沈澱が生成した。一方、st-PMMAをゲストに用いた時は沈澱形成は認められなかった。γ-CDとit-PMMAとの間で形成された沈澱のXRDスペクトルにはγ-CDあるいはit-PMMA単独とは異なるピーク(2θ=18°)が観測され、γ-CDとit-PMMA間で錯体が形成されていることが示唆された。次に、この錯体の1H NMRスペクトルからその錯体の組成比を算出した。γ-CDの1位プロトンとit-PMMAのメチレンプロトンのシグナルの積分比からγ-CD1分子に対してMMAが3 unitの比で錯体が形成されていることがわかった。一方、γ-CD-at-PMMA錯体はγ-CD1分子当たりMMAが5 unitの比で形成されていることがわかった。このように、PMMAの立体規則性の違いにより、γ-CDとの沈澱形成(錯体形成)挙動や形成された錯体の組成比が異なることが明らかになった。
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