研究課題/領域番号 |
18550136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
吉井 賢資 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90354985)
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研究分担者 |
池田 直 岡山大学, 理学部, 教授 (00222894)
森 茂生 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (20251613)
米田 安宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究副主幹 (30343924)
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キーワード | 磁性 / 誘電体物性 / マルチフェロイック / フラストレーション |
研究概要 |
本研究で対象となるRFe_2O_4(R:希土類)につき、特性の良い試料を得るため、試料の焼成条件を変えながらLuFe_2O_04多結晶試料の作成を行った。試料はCOとCO_2の混合ガスによる還元雰囲気中で作成しているが、COとCO_2の流量を変化させることで合成中の酸素分圧をコントロールすることができる。合成中の酸素分圧は、作成される試料の酸素量、ひいては物性に影響することが知られている。このことから、まずは、合成中の酸素分圧のみを変化させ、焼成温度など他の条件は一定にして試料作成を行った。作成した10個ほどの試料に対し磁化測定を行ったところ、CO_2の流量が多い領域で磁気転移温度が高くなる傾向が見られた。現在、さらに詳しい検討を行っている。物性の詳細を観測するためには、単結晶試料を用いることが有効と考えられるので、上記作業と平行し、単結晶育成を行うためのフローティングゾーン炉の立ち上げを行った。 これと平行し、RFe_2O_04と同じ結晶構造を持つRFeCuO_4の物性についての研究に着手した。RFeCuO_4は、RFe_2O_4のFe^<2+>をCu^<2+>に置き換えたものであり、CuはFeの結晶サイトをランダムに占有することが知られている。この系の磁性を調べたところ、磁気転移温度は45K以下であることが分かった。この温度は、RFe_2O_4の磁気転移温度である250Kより大幅に低い。また、交流誘電率測定を行ったところ、RFe_2O_4よりも低い誘電率を示すことが分かった。以上の実験事実は、この系の磁性と誘電性が、遷移金属間の電子の移動に由来していることを示唆する。電子移動が重要と思われる誘電性は、ペロブスカイトルテニウム酸化物などにおいても見出された。 上述の研究で得られた成果は、いくつかの論文にまとめ、また、特許出願も行った。
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