研究課題
平成19年度は、世界最古の植物で藍藻と同種の紅藻イタリアの高温酸性温泉に生息するシゾン(Cyanidioschyzon merolae 10D)やアルカリ条件下で生息出来、食用としても有用であるスピルリナ(Spirulina platensis)等を利用して分解をコントロールし、有意義な有機化合物への変換「ものづくり」に成功し、成果を挙げることが出来た。そこで平成20年度は、沖縄県に生息するシアノバクテリアの一種Nostoc mintum(NIES-29)Ishigakiを始め、マングローブや紅藻類(Stypopodium zonale)に寄生する微生物類による「ものづくり」と「環境浄化」を検討した。紅藻類に寄生する、真菌Rhinocladiella atrovirensおよびRhinocladiella sp.K-001を用いて紅藻類の天然物の内、含臭素セスキテルペンの変換反応を行ったところ、メチル基の1,2転位を初め臭素の脱離や閉環反応等を見出すことが出来た。また、藍藻Nostocによる2-ハロアセトフェノン誘導体の変換反応を行ない、Spirulina platensisとの比較検討も行った。その結果2-クロロアセトフェノン誘導体はカルボニル基が還元されたヒドロキシル体が優先的に得られるが、2-プロモアセトフェノン誘導体の場合は、プロモ基がヒドロキシル基に置換される反応が優先的に起こることが判明した。分担者、中村は、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の有効利用を積極的に取り組んだ。一例として、超臨界二酸化炭素中の生体触媒反応を研究し、超臨界二酸化炭素を有機溶媒に代わる新しい媒体として利用することを考えた。通常、脱水素酵素は超臨界二酸化炭素中で反応させることは困難であるが、生体触媒を固定化すれば不斉還元が可能とした。
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