研究概要 |
系統的な金属ニトロシル陽イオン錯体の生成特性の研究 金属ニトロシル陽イオン錯体は、申請者らが近年発見した均一系遷移金属錯体であるが、その系統的な研究の一環として、本年はモリブデンとタングステンのニトロシル陽イオン錯体について詳細に研究した。モリブデン及びタングステンのニトロシル陽イオン錯体について、多核NMR, IR,Ramanのほかに新しくエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)を用いて詳細に調べた。その結果、モリブデン、タングステンジニトロシルカルボニルに、さらに3個のフルオロスルホン酸イオンが配位した陰イオンの錯体、[fac-M(CO)(NO)_2(SO_3F)_3](M=W, Mo)が形成されることがわかった。これらの錯体において、モリブデン、タングステンから、ニトロシル基及びカルボニル基への逆電子供与は小さく、錯体全体が陰イオンであるにもかかわらず、モリブデンまたはタングステンジニトロシルカルボニル部分は陽イオン性を示す。本錯体は、フルオロ硫酸中で生成する極めて珍しい陰イオン錯体である。現在、鉄ニトロシル陽イオン錯体についても研究を進めている。 触媒評価装置の作成と運転 金属ニトロシル陽イオン錯体の触媒としての窒素酸化物除去性能を評価するため、触媒活性評価装置の設計、構築を行った。ガスクロマトグラフ(島津製作所GC-2014ATF)を設置し、一酸化窒素等のガスの検知性能を確認した。
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