研究概要 |
窒素酸化物除去触媒としての金属-有機多孔質高分子錯体の開発 新規窒素酸化物除去触媒として、銅を核とする金属-有機多孔質高分子錯体であるイソニコチン酸銅錯体高分子を調製し、触媒活性評価装置を用いてその活性を評価した。その結果、一酸化窒素の分解還元反応が見られた。次に分解後の生成ガスを同定するため、カラム充填剤molecular sieve 5Aとporapack Qを用意し、想定される生成ガスの標準ガスを用いて検量線を作成した。その結果498 K付近では、一酸化窒素のほとんどが窒素に還元されており、一部が一酸化二窒素に転化されておりことがわかった。また、反応温度が上昇するに従って、生成ガス中の窒素や一酸化二窒素が減少し、かわりに二酸化窒素が増加することがわかった。 新規窒素酸化物除去触媒の開発 上記金属-有機多孔質高分子錯体以外の物質、HKUST-1 (Cu_3(BTC)_2, BTC=benzene-1,3,5-tricarboxylate)などの錯体や、銅担持活性炭素繊維などについても調製し、窒素酸化物除去触媒を調べた。その結果、HKUST-1には、若干のNO転化は見られたが、触媒活性はイソニコチン酸銅錯体高分子より低かった。また、銅担持活性炭素繊維や市販の銅化合物などの活性もあわせて調べてみたが、HKUST-1と同様に高温域では若干のNO転化は見られたが、イソニコチン酸銅錯体高分子を越える触媒活性は見られなかった。以上のことから、イソニコチン酸銅錯体高分子は、窒素酸化物除去触媒にふさわしい銅の酸化数、細孔径、金属核の配置などを備えていることが推測された。
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