研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では、光合成膜中での初期過程を担っている膜タンパク質複合体(アンテナ複合体(LH2)および反応中心-アンテナ複合体(RC-LH1)を固定化脂質二分子膜中に組織化し、それらの集合形態と機能との相関を明らかにする。平成18年度の成果は以下の通りである。(1)LH2を固定化脂質二分子膜中へ膜融合法により導入する手法を開発し、脂質二分子膜の相構造(ゲル相/液晶相)により制御された組織化に成功した(Langmuir, 2006)。(2)この膜融合法を用い、LH2のみならず、RC-LH1複合体の脂質二分子膜への組織化にも成功し、これら2成分を脂質二分子膜の領域特異的に配列させることが可能となった。(3)RC-LH1の自己集合に関連するとされるPufXポリペプチドの効果を調べるために、このポリペプチドの大量発現を試み、高い発現効率で目的のポリペプチドを得ることに成功した。(4)RC、LH1複合体、およびRC-LH1複合体をそれぞれITO電極上に組織化し、その光電変換能を調べたところ、RCとLH1が共存することにより、効果的に機能(光電変換)することを明らかにした(Colloids and Surfaces B(2007), Photosyn.Res.(2006))。RC-LH1は細胞質側に約4nm突出した親水性ドメインを持つ。上述の固定化脂質二分子膜では、この親水性ドメインと固定化基板との間の物理的接触により活性に影響すると予測された。そこで、(5)約5nm基板表面から膜を浮き上がらせるピラー構造を有する固定化脂質二分子膜を調製し、RC-LH1をそこに導入することに成功した(投稿準備中)。これら得られた成果に基づき、平成19年度は、PuxXポリペプチドがRC-LH1複合体の集合体形成に及ぼす影響を全反射型蛍光顕微鏡及び原子間力顕微鏡により明らかにし、その機能との相関を明らかにする。
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Colloids and Surfaces B : Biointerfaces 56
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