研究課題
我々は好中球活性化ペプチド受容体(FPR)の膜貫通領域配列を持つペプチドが、ヒト好中球プライミングし、高度に活性化した状態を取ることを報告した。この膜貫通ドメインの高度活性化が相当する受容体タンパク質FPRとの相互作用によるものかは明らかでない。そこで今回、膜貫通ドメイン高度活性化の配列依存性を検討する目的で、FPRに高い相同性を持つ受容体タンパク質Formyl Peptide Receptor Like 1(FPRL1)及び、FPRと相同性を持たないGPCRの配列としてγ-アミノ酪酸受容体配列のそれぞれの第4膜貫通ドメイン配列をもとに新規なTMペプチドを調製し、好中球の活性酸素放出に対する機能を検討した。その結果、いずれの膜貫通ペプチドとも、ペプチドの単独投与だけではヒト好中球の活性酸素放出を引き起こさなかった。しかしながら、FPRLITM4やFPRL1TM5膜貫通ペプチドを投与後、20分間インキュベートした後、好中球の活性酸素放出に対するアゴニストであるfMLPで刺激すると、リン酸緩衝液を前投与した場合と比較して、高い活性酸素放出が観測された。またその活性は、FPR受容体由来膜貫通ペプチドにより引き起こされるプライミング能と比較して、ほぼ同等のものであった。ヒト好中球上に存在する受容体サブタイプのポピュレーションは、FPRが高く、FPRL1は約10%程度と予想されている。これらのことから、FPRL1由来膜貫通ペプチドは、FPRL1受容体だけでなく、FPR受容体にも関与していることが示唆された。また、配列の全く異なるGABA受容体由来膜貫通ペプチドはリン酸緩衝液を添加した場合と比較してほとんど活性の増強を示さなかった。このことから、全く異なる受容体の膜貫通配列、すなわち、単なる疎水性ペプチドでは好中球のプライミングは起こさないことが示唆された。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Leukemia 22
ページ: 353-360
Biochemistry 47
ページ: 3705-3714
Biol.Pharm.Bull 30
ページ: 891-897