研究課題/領域番号 |
18550159
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研究機関 | 横浜薬科大学 |
研究代表者 |
小俣 義明 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (20268840)
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研究分担者 |
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 準教授 (40352124)
佐藤 秀明 久留米大学, 医学部, 講師 (60271996)
杉島 正一 久留米大学, 医学部, 講師 (30379292)
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キーワード | ポルフィリン / ウロポルフィリノーゲン / ウロポルフィリノーゲンIII合成酵素 / 先天性骨髄性ポルフィリン症 / ハイドロキシメチルビラン / ハイドロキシメチルビラン合成酵素 |
研究概要 |
生理的に利用されるポルフィリンは4つのピロール環側鎖の配置が対称にはなっていない。非対称になるのは、生合成過程でハイドロキシメチルビラン合成酵素によって作られた鎖状テトラピロールから、ウロポルフィリノーゲンIII合成酵素(UROS)によって環状のウロポルフィリノーゲンIIIを生成する際に、D環を反転させることによって行われることが判っている。本研究は、UROSによるD環反転機構を溶液中における動的構造と結晶中における静的構造の両面から明らかにし、ポルフィリンの代謝においてポルフィリンの非対称性が果たす役割を解明することを目的として行われている。 UROSにはCysが8残基存在しており、分子内部に埋もれているCys残基が酵素活性に影響することが判った。C末端以外に存在するCys残基をそれぞれSerに変異させた酵素の変性及び未変性状態でのSH基の定量から、唯一Cys73だけが分子内部に存在することを明らかにした。活性が低下した酵素でCys73がどのような分子種に変化しているかをTOF-MSスペクトルの測定により同定した。 UROSの基質であるハイドロキシメチルビランには8つのカルボキシル基があり、酵素への結合に際して塩基性アミノ酸残基と相互作用すると考えられる。また、ハイドロキシメチルビランが環化する反応にはプロトンを必要とする。基質の結合様式及びプロトンの供与に関わるアミノ酸残基を明らかにする為に、推定されている基質結合部位近傍に存在するLys、Arg、His、Tyr、Ser残基の変異酵素を作成し、酵素活性及びKm、kcatを測定した。その結果を基にした分子モデリングに依って構築した基質結合のモデルから、Tyr168がプロトン供与体である可能性が高いことが示唆された。Tyr168の活性への関与は他の研究者によっても報告されており、本研究の結果はこのことを蛋白質の構造から支持した。
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