研究概要 |
1.Fアクチン相構造の評価:Fアクチンの会合体の相構造が2価カチオンMg2+の濃度に応じて変化する様子を,光固定法を利用して評価した.カチオン高濃度側では各種Fアクチンのバンドルがコイル状に三つ編みに構造を形成していることが,中間濃度では2次元のネマチックラフト構造を形成していることが明らかとなった.これまで小角X線を利用した研究で発見されていた構造を直接観察することができた. 2.Fアクチンの配向・固定化:アゾポリマー上に光固定したアクチンモノマーからの重合の証明を行う為、固定部以外のアゾポリマー表面へのフィラメントの吸着を抑制する条件について検討した結果、BSAによるブロッキング処理および界面活性剤の添加の有効性が見出せた.しかし課題としてアクチンを重合する条件、タンパク質変性に気をつける必要性があることがわかった.アゾポリマー上に光固定したアクチンモノマーからの重合では、溶液中に生成する様々な重合度のアクチンフィラメントが表面からの重合に影響を与えることがわかった.そこでアクチンフィラメントの極性の一方に特異的に結合するキャップタンパク質を利用した新たな配向固定法を考察し、キャップタンパク質の一種であるGelsolinを用いた検討で有効性を見出した.(発表準備中) 3.ミオシンの配向・固定化:干渉光を用いて表面凹凸構造を形成したアゾポリマ表面上にアクチンフィラメント溶液を滴下・乾燥することで,凹凸構造に沿ってアクチンフィラメントが自己組織的に配向することを見出した.約10種のミオシン(類)を入手し,アゾポリマ上でのアクチンフィラメントのすべり運動を比較検討した.東大豊島研より入手したヘビーメロミオシンが最も良いすべり運動性を示すことを見出した.その表面では,すべてのフィラメントがすべり運動していることがわかった.(発表準備中)
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