研究概要 |
1.F-アクチンの配向・固定化基板の作製 前年度まで,アゾポリマー上にキャップタンパク質(ゲルゾリン)光固定し,さらにゲルゾリンによりF-アクチンを補足,切断後,基板をせん断方向に配列させることに成功してきた.本年は2種類の蛍光色素染色F-アクチンによるアゾポリマー基板上への極性配向固定の検証を行った. (1)2蛍光染色F-actin(AAABBBタイプ)を選択性良く重合する条件を見出した. (2)2蛍光染色F-actinをアゾポリマー上に配向固定した基板について配向性解析の為の基板作製条件および観察条件を見出し,解析が可能となった. (3)配向状態を確認したところ9:1の割合で方向性が揃って配向していることを確認した. 2.ミオシン配向構造体の作製 (1)ミオシンを自己組織化して,ミオシンモノマー,ミニフィラメント,巨大フィラメントを作製し,それぞれアゾポリマ上に固定化することに成功した (2)光固定プロセスの基礎的知見を得るため,アゾポリマ上のタバコモザイクウイルスが光照射時間に応じてアゾポリマに埋設・固定化していく様子を分子レベルで確認できた. 3.配向・固定化基板上での一方向運動の観察 (1)運動を観察するため,アゾポリマービーズを作製し,その表面ヘヘビーメロミオシン(HMM)を固定化した.HMMの活性を保持した状態で吸着したHMM-アゾポリマービーズの作製条件を見出した. (2)アゾポリマー上に吸着させたF-アクチン上での滑り運動を行う様子を観察した (3)HMM-アゾポリマービーズを用いて上述F-アクチン配向固定した基板上での運動を検討したところ,ほとんど運動が観察されなかった.配向プロセスに劣化,光固定プロセスでのアクチンの運動阻害の可能性が考えられる.
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