研究概要 |
今年度は超多孔質二酸化チタン光アノードと酸素還元カソード電極を, 5cmx5cm, 10cmx10cm, および20cmx20cmとしたセルをサブモジュールとし, これらの実用化研究を目指した. 試料は固体は細かく摩り下ろすかあるいはホモジナイザーで破砕し水に分散した. また, セルは試料(液体または懸濁水溶液)を入れて中に滞留させたまま光照射するか, 送液ポンプで循環させながら光照射した. その結果,セルサイズによっては光分解特性はあまり変わらないことが明らかとなり, 大型化のめどがついた. また, 送液ポンプで循環させながら光照射すると分解特性が著しく向上することが分かり, 今後の設計に重要な知見となった. 実際に太陽光分解浄化を行う試料を選び, 擬似太陽光(太陽光強度に近い紫外光)を照射してその光分解特性(発生気体分析と, 光電地特性として, I-V特性から開放光起電力, 短絡光電流, 曲線因子を算出する)を明らかにした. 試料としてはモデル化合物以外に, 生ゴミモデルとして, 大根, 人参, その他の野菜類, 着色した果物, 菓子類のような工場廃棄物など, 畜産排泄物(特に, 浄化が問題となっている豚の尿汚水), 自然界の典型的環境汚染物質として, アオコなどの光分解を検討した. その結果驚くべきことに, 微細な固体分が懸濁したような試料でも, 固体を含めた光分解が起こり, 浄化されることを見出した. 油分も界面活性剤等の添加により分解が可能なことが分かった. 着色した試料に関しては, 可視光による分解が起こるかも含めて検討した。色素によっては分解も起こるが,その効果はあまりはっきりとしなかった. また, 水に溶解し難い疎水基を有するRuポリピリジン錯体誘導体を合成し増感作用を調べた結果, 初めて水系で可視光分解が起こり, 今後の展開に重要な結果となった.
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