本研究における微細構造制御では、正極材あるいは各種カーボンの水系または非水系でのコロイド分散特性を把握することが不可欠である。このために、平成18年度、カーポンとしてアセチレンブラック及びカーボンナノチューブ、正極材物質としてV_2O_5、LiFePO_4、及びLiCoO_2について、ゼータ電位測定法などの手法によって、水系及びエタノール系でのそれらのコロイド分散特性を明らかにした。その結果、カーボンコロイドでは、polyethylenimine (PEI)を添加することにより、水系、エタノール系ともにコロイド分散性は向上し、特にその傾向は水系コロイドで著しいことが明らかになった。また、これらの結果を基に、各種正極材物質とカーボンとのヘテロ凝集系コロイド、あるいは均一分散系コロイドを作製した。現在、これらのコロイドから作製した正極材/カーボンのコンポジットの電気化学的特性の検討を行っている。 一方、微細構造制御では、正極材粒子のナノサイズ化あるいは非凝集化も重要なテーマである。このために、化学溶液法による各種正極材粒子の合成を行ってきた。これらから、新たにγ-Li_<2.2>V_2O_5・nH_2Oの合成に成功した。この物質を正極としたリチウム二次電池セルの充放電電位は、従来のγ-Li_2V_2O_5のそれと比べて、1V程度高いことが明らかになった。これは物質層間に存在する水分子の影響と考えられる。この結果は下記に示した論文(Electrochim.Acta)として発表した。また、粘土鉱物の層間を利用したナノ粒子合成の手法も行っている。これからは、平成18年度、Ag-magadiiteナノコンポジットの作製に成功した。この結果は下記に示した論文(J.Eur.Ceram.Soc.)として発表した。
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