電気自動車等の普及にともない高性能リチウム二次電池の開発が急務となっている。本開発では、リチウム二次電池の正極材組織を高度に制御できるか否かは、鍵となる重要な技術である。本研究は、コロイドプロセスの手法を用いて、高度に制御した正極材を作製することを目的として行った。本年度、コロイドプロセスによるLiFePO_4粉末とカーボンが均一に混合したナノコンポジットを作製するために、界面活性剤の添加効果について調べた。すでにこれまでの研究によって、水溶液中での活物質粉末(LiFePO_4粉末)の分散性は、polyethylenimine(PEI)添加により促進されるという知見を得ているが、本年度の研究からは、PEIよりもhexadecyltrimethlammonium bromide(CTAB)添加の方が、より少量の添加で活物質粉末およびカーボン粉末(アセチレンブラック)を効率よく分散させる効果があることが判明した。さらに、加熱処理の過程で、CTABの方がPEIよりもより低温でカーボン化することがわかった。この結果は、活物質の電気化学的特性を劣化させないという点で有利である。これら2種類の界面活性剤を用いて作製した正極材の電気化学的特性についての評価も行った。充放電特性からは、サイクル特性等で違いが見られた。これらの結果は本年度ベルリンで開催される国際会議(THERMEC'2009)で発表するとともに、論文発表を行う予定でいる。
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